45 Kawaii とOishii

こんにちは。料理人の佳子です。
梅雨が明け、すっかり本格的な夏。「暑い」を言わないで済む日はしばらくないんでしょうね。
7月は誕生月でもあるので特別な想いにかられます。子どものころは、夏には今のようにケーキが売っていなかったので、寒い季節に生まれた友だちがうらやましかったなぁ。

食堂あおぞらのオープン当初、「最近のお客さまは、お料理やドリンクの写真を撮るので、フォトジェニックな仕上がりも大切ですよ」にとアドバイスを受けたことがあります。
フォトジェニックかぁ…と頭をかかえました。
実は、良夫マスターには絵心があり、イラストや文字デザインが上手で器用なのですが、私は今ひとつ、自分の絵的センスには懐疑的なのです。
いろいろな飲食店にうかがうと、お料理はもちろん、さまざまな演出の仕方を勉強させていただきます。まさにフォトジェニックだなあと思えるお料理もあれば、美しい一瞬を切り取った写真の方がリアルの料理より美しく感じることもあります。
でも、どんなに美しくても、おいしくなかったら元も子もありません。

フォトジェニックのレベルには到達できていませんが、「カワイイ!」と評されることは時々あります。少しは視覚に訴えられたのかもしれないなあと、うれしくなります。
あおぞらのお料理では、丸っこい形状や茶巾絞り、同じ形の色違い、ユニークなトッピングなどに対して、カワイイと評されることが多いような気がします。

料理やドリンク、それらの内容とネーミング、店のインテリア、食器、服装など、飲食店を構成する要素の何をもってカワイイとするか…。
「Kawaii(カワイイ)」という言葉は、21世紀になってから世界に最も広がった日本語と言われるほど認知されてきました。
高感度な若い人たちに「きゃー、カワイイ!」といわれるのも嬉しいけれど、人生の大波小波を乗り超えてきた、大人の男性や女性たちにこそ言われたい。
大阪を訪れている外国人のお客さまにも言われたい。
大人のカワイイやグローバルなKawaiiって何だろう。

ときどき、旅先で刺激を受けることもあります。先日、四国へ歩き遍路に出向いた時、徳島駅前のパン屋さんで、シマエナガの形をしたチョコパンを見かけました。
シマエナガは、普通なら北海道にいる可愛い鳥ですが、なんで徳島駅にいるの。しかも、たくさんのシマエナガ形のチョコパンが、雪国にいる実際のシマエナガのように寄り添ってお客様をじっと見ている並べ方。
思わず「カワイイ!」と言ってしまいました。

さて、最近デビューしたばかりのメニューに、「イロイロうずら」とネーミングしました。
うずら卵って小さくて、ぽいっと口に入れられる軽さがあって、地味な食材かと思いきや、八宝菜に入っていると「あ、見つけた!」と少し嬉しくなってくるような存在感のある食材ではありませんか。
寄り添っているシマエナガのチョコパンのかわいらしさを思い出しながら、真っ白なうずら卵を、赤色、黄色、生成り色に染め分けてみました。赤は、赤ワインとビネガー、黄色はカレー系スパイス数種とビネガー、生成りは鰹と昆布のお出汁に薄口醤油と塩麹で仕上げました。
カワイイ!と言ってもらいたいなぁ、オイシイ!と言ってもらいたいなぁ。
うずら卵と私は、寄り添いながらお客さまのお越しをお待ちしています。

One Reply to “45 Kawaii とOishii”

  1. 田村ひろ子

    写真を見た途端「美味しそうな餡玉!!!」だと思っておりました。
    佳子ちゃんのコメントを読んでから、あらためて、味付けにも色合いにも工夫をされた「イロイロうずら」の写真をみております。七月に入ったらお店に伺おうと思っておりました。気温と相談しながら・・・日にちを決めてご連絡します。

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