こんにちは。料理人の佳子です。 11月1日から歩き出した食堂あおぞら。ヨチヨチ歩きながら、2カ月達成まであと1日。悲喜こもごも、ドキマギ、うれし楽し、反省反省、そんな毎日でした。 毎日洗っているけど定着してきたコックコート(白衣)の右袖の汚れは、私の2カ月のキャリアの証。そう思うとうれしく、かつ、コックコートって消耗品なんだ、と気づかされます。
食堂あおぞらには常時25種以上のお料理があるのですが、「これ何?」と言われるメニューの筆頭が「蕎麦の実サラダ」。 「レシピに著作権はない」「食堂あおおぞらはレシピ公開」なので申し上げると、蕎麦の実、カッテージチーズ、ドライトマト、ブラックオリーブ、ケッパー、スプラウト、生ハムを刻んで混ぜて、塩とオリーブオイルで調味するだけという1品です。 たいていの方の召し上がった第一声が「何これ?」です。
他ではあまり見かけない料理なのかもしれないですね。召し上がって「何これ?」と思うのは、蕎麦の実自体には味がなく、単にプチプチしているだけなのに、他の材料がうまみ、酸味、塩味、ミネラル、それぞれの色(見た目)などの役割を担って一つの料理に昇華している不思議さを感じられるからではないでしょうか。 食べているうちに、「何これ?」が「これこれ!」になっていく。再来店していただくと、たいてい「あれあれ」と注文していただける、食堂あおぞらの優等生です。
この料理のルーツは、スペイン・ビルバオのグッゲンハイム美術館に併設されたレストランで食べたランチでした。私の第一印象も「何これ?」であり、この旨みや風味は何からできてるの?とスプーンで木鉢の中をかき回し、これはうまいわ、日本に持ち帰って食堂あおぞらで商品化したいと思いました。 そしてコロナ禍で、開店を待つ間、いろいろアレンジしながら商品化し、今に至ります。 一番苦労したのは、実は蕎麦の実の「茹で時間」と「後処理」です。茹で時間が長いと、べたつく。茹でた後の処理を間違っても、ベタベタ感が残る。 蕎麦の実はプチプチしていることが命で、それが蕎麦の実サラダにおける、蕎麦の実が果たすべきお役目なのです。
30gで8分が基準で、7分30秒あたりから1粒食べては硬さを確かめます。その後、どう後処理するのか、私なりにつかんだノウハウがあるので、ご興味があれば来店された時に、お声をおかけください。要は水分を飛ばし、乾燥させれば、プチプチ感が出てきます。ご家庭でも簡単に再現できるコツです。
残るは、最後にかけるオリーブ油をどう工夫するのかが2022年の課題です。ちょっとおいしいオリーブ油を探してみなくちゃ。美味しいオリーブ油情報をお持ちの方、お教えください。
蕎麦の実サラダのファンのみなさま、来年はさらに美味しくバージョンアップする予定ですので、お楽しみに。
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