料理人の佳子です。前回の続きを。
ヤマウラステイでは、いろいろな楽しみ方ができます。
夕食や朝食をケータリングしてもらったり、近隣のレストランに案内してもらったり、近隣の農家の人と触れ合うプランも。
私たちは、ここで地味〜に自炊をする静かな休日にすることに。
普段、飲食店を経営していると、実は自分たちの食事って、結構アバウト。ささっと賄いを食べるか外食をするかが中心になってしまいます。
赤ワイン、スパークリング、バゲット、チーズ、生ハム、オイルサーディン、ソーセージ3種、粒マスタード、和歌山産の青バレンシア、卵、トマトジュース、アップルパイ、塩パンを持ち込みました。
要は夕食のワインのアテと、翌日の簡単な朝食を持ち込んだわけです。初めて訪れるところなので、キッチンの事情がよくわからなくて、朝夕とも簡単な料理にしました。
あとでホームページをじっくり読むと、ちゃんとキッチンの設備が書いてあったのに、それをスルーしてしまいました。
それに私、「30日前までの予約がお得・信州厳選ミニバー無料」という特典でこの宿を予約したことを、すっかり忘れていました。しかも「ミニバー」に重きを置いていなかった。
冷蔵庫の扉をあけたとたん、びっくり仰天!!
冷蔵庫の中には、なんと信州産ブラッククイーンの赤ワイン1本、信州のクラフトビール2本、信州の代表的な日本酒「真澄」の辛口ゴールド4合瓶、信州産のウイスキー中瓶1本、ソーダ2本、リンゴジュース1本が並んでいたのです。
このすべてが「ミニバー無料」の中身でした。
ミニちゃうやん!
このほか、塩胡椒や油、出汁、コーヒー豆、和紅茶など1日の滞在に必要な調味料はそろっています。コーヒーミルがあったので、朝食の前に、良夫マスターが豆を挽いて、おいしいコーヒーを入れてくれました。
電磁調理器を始め、「バルミューダ」のオーブン(←スイッチを入れると音楽がなるので、踊りながら出来上がりを待ちました)、鍋やケトルなど必要な調理道具は揃っています。
ハイスペックな道具や大きめのアンティークなお皿や塗り腕などが、上質な「ケ」の空間を彩ってくれます。
そう、ここのコンセプトは、「特別な『ケ』をすごす日」。
ハレの旅ではなく、ケの旅を楽しんでね、ということですね。
調理や食器が好きな人なら、現地の鍛冶職人が作った包丁や、近くの陶工が作ったコーヒーカップに興味をもつでしょう。
環境にやさしい暮らしに興味のある人なら、雑菌がつきにくいエピキュリアンのまな板とか、紙フィルターのいらないメタルのコーヒードリッパーとか、サラヤの洗剤などに、親近感を感じると思います。
私たちは、美しく整えられた室内のあちこちにある「something old」に魅かれました。
最新のトイレ・洗面ボウルのある場所に、ぽつりと置かれた古い丸椅子。
元々の民家の蔵に残っていた古い食器。
昭和世代には懐かしい作りの古い木製の本棚。
リメイクされた照明器具や屏風。
古びて少し表装の傷んだ書物や掛け軸。
天井に残された太い梁…。
古いモノって、いいですね。一つひとつに練り込まれた物語に思いを馳せられるからなんでしょうね。
モノだけでなく、残して愛でるコトがいいのかもしれない。
何を残すのかに、ヒトの知恵とセンスが表れています。
日のあるうちは、周囲に散歩に出かけ、八ヶ岳の山並みを眺めたり、綺麗に並んでいるキャベツ畑に感心したり、帰宅後にはテレビも時計もない室内で読書を楽しみ、本当に静かな漆黒の夜には、おいしいお酒とアテを楽しみ、夜中に降り出した雨の音に目を覚まし、朝には近くの保育園に向かう親子を眺めながらコーヒーをいただく…。
おいしく食べること、くつろぐこと、時間を気にしないこと、騒音のないこと、清潔なこと。
cozyな空間で疲れた心身を再生し、明日への活力を養う。
食堂あおぞらもそうありたい、と創業の原点に戻った夏休みとなりました。
写真:キッチンの引き出しの中
参考:ちの旅ヤマウラステイ
https://yamaurastay.jp
物件の詳細は上記のHPをご覧くださいね。